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「自由な建築家に」建築家兼起業家を目指すT.Tです。

BIMを始めたけれど、思ったように図面が進まない。

CADのほうが早いのでは、と感じてしまうなぁ。
と悩んでいる意匠設計者の方に
病院や学校を多く手がける組織設計事務所で働く一級建築士の私が
意匠設計者がBIMで最初につまずくポイントについて、実務の視点から解説します。
BIMは便利な道具ですが、2次元CADの延長で使い始めると、多くの人が同じところで手が止まります。
つまずく場所をあらかじめ知っておくだけでも、導入初期の負担はかなり軽くなります。
次のいずれかに当てはまる方は、ぜひ最後までご覧ください。
- これからBIMを使い始める意匠設計者
- BIMを導入したものの、作業が遅くなったと感じている方
- 事務所でBIMの運用ルールを作る立場にある方
- 意匠設計者がBIMでつまずく理由
- 最初につまずきやすい5つのポイント
- つまずきを小さくする進め方
BIMへの移行でつまずく場所を先に知り、遠回りを減らしていただければと思います。
それでは、順に見ていきます。結論から書くと、つまずくのは次の5つです。
- 線ではなく部材で考える
- 決めることが前倒しになる
- 図面の表現に手間がかかる
- テンプレートとルールが無い
- 構造・設備との連携が進まない
意匠設計者がBIMでつまずきやすい理由
まず押さえておきたいのは、BIMが「図面を描く道具」ではなく「建物のモデルを組む道具」だという点です。
2次元CADでは、平面図・立面図・断面図をそれぞれ線で描き、整合は設計者の頭の中で取っていました。
BIMでは壁や床、開口部といった部材を3次元で配置し、図面はそのモデルから切り出して作ります。
つまり、図面の描き方ではなく、仕事の順番そのものが変わるということです。
操作を覚えれば解決すると思われがちですが、実際につまずく原因の多くは、この順番の変化にあります。
意匠設計者はとくに、ラフなスケッチから少しずつ精度を上げていく進め方に慣れています。
その進め方とBIMの前提がずれるところで、手が止まりやすくなるのです。
設計の各段階で何を決めるかについては、以前の記事で整理しています。あわせてご覧ください。
最初につまずく5つのこと
ここからは、意匠設計者が最初につまずきやすいポイントを、一つずつ見ていきます。
線ではなく部材で考える
最初の壁は、線を引く感覚が通用しないことです。
CADなら壁は2本の線で済みますが、BIMでは種類・厚み・高さ・構成を持った部材として配置します。
壁と床の取り合いや、部材同士の優先順位を決めないと、思ったとおりに納まりません。
はじめは、線を引くつもりで部材を置き、あとから設定を直す作業に追われがちです。
部材の設定を先に揃えてから置くという順番に慣れるまでは、少し時間がかかると考えておくのが確実です。
決めることが前倒しになる
二つ目は、決めることが早い段階に集まってくる点です。
壁を置くには厚みが、開口部を置くにはサイズや高さが要ります。
CADなら線だけで先に進めた部分も、BIMでは仮の値を入れなければ形になりません。
そのため、まだ決まっていないことを決めないと進めないという感覚に悩まされます。
仮の値は仮と割り切り、あとで一括して変更できるように作っておくのが現実的な対処です。
図面の表現に手間がかかる
三つ目は、図面としての見た目を整える作業です。
モデルから切り出した図面は、線の太さや表記が事務所の作図ルールと合わないことが多くあります。
寸法・室名・仕上げの表記など、CADなら数分で描き足せたものに時間を取られることもあります。
ここで「CADのほうが早い」と感じて、2次元の描き足しに戻ってしまう人も少なくありません。
ただ、描き足しを増やすほどモデルと図面がずれ、BIMを使う意味が薄れていきます。
どこまでモデルで表現し、どこから2次元で補うかを、最初に線引きしておくことが大切です。
テンプレートとルールが無い
四つ目は、事務所としてのテンプレートや運用ルールが整っていないことです。
線種や部材の種類、図面枠などの設定が人によって違うと、データを渡すたびに手直しが発生します。
個人の工夫で乗り切れるのは、一人で完結する小さな案件までです。
複数人で一つのモデルを扱うなら、テンプレートの整備は操作の習得より先に手を付けたい部分です。
構造・設備との連携が進まない
五つ目は、構造や設備との連携が想定どおりに進まないことです。
BIMの利点として、各分野のモデルを重ねて干渉を確認できる点がよく挙げられます。
ただ、協力事務所が同じ形式でモデルを作っているとは限らず、データの粒度もまちまちです。
意匠側だけがBIMでも、連携の効果は限定的になります。
案件の初めに、どの段階で・どの形式で・どこまでの情報をやり取りするかを決めておくと、やり直しを減らせます。
質問: 5つのうち、実際にいちばん時間を取られたのはどれですか。そのとき、どう乗り越えましたか。
T.T: 図面の表現を整える作業にいちばん時間がかかりました。最初は2次元で描き足していましたが、途中からモデル側で表現する範囲を決め、表記の設定を少しずつ揃えるようにしました。
つまずきを小さくするための進め方
ここで一度、整理します。5つのつまずきは、どれも操作の問題というより、進め方と準備の問題です。
そのため、次の3点を押さえておくと、導入初期の負担はかなり小さくなります。
- 最初の1件は、規模が小さく条件が単純な案件で試す
- テンプレートと表現のルールを、案件の前に決めておく
- 協力事務所とのデータのやり取りを、着手時に取り決める
とくに最初の1件は、BIMで完結させることにこだわりすぎないほうがうまくいきます。
基本設計はBIMで進め、実施図の一部は2次元で補うといった段階的な移行でも、得られることは十分にあります。
また、令和8年(2026年)4月からは、建築確認申請で「BIM図面審査」の運用が始まりました。
BIMデータから書き出した図書を使うことで、図書間の整合確認の一部を省略できる仕組みです。
詳しい要件は、国土交通省の建築BIM推進会議のページで公開されているガイドラインで確認できます。
こうした制度の動きを見ても、BIMは意匠設計者にとって避けて通れない道具になりつつあると感じます。
質問: ご自身の事務所では、BIMの導入はどこまで進んでいますか。使っているソフトと、うまくいかなかった点を教えてください。
T.T: 私の職場では意匠設計にArchicadを使っています。導入当初は、図面表現のルールが揃っておらず、担当者ごとにデータの作り方が違ったことに苦労しました。
なお、BIMとAIを連携させる検証についても、別の記事で記録しています。
まとめ
今回は意匠設計者がBIMで最初につまずくポイントについて解説しました。
- 線ではなく部材で考える
- 決めることが前倒しになる
- 図面の表現に手間がかかる
- テンプレートとルールが無い
- 構造・設備との連携が進まない
BIMへの移行でつまずく場所を先に知り、遠回りを減らしていただければと思います。
BIMで手が止まるのは、能力の問題ではなく、仕事の順番が変わることによるものです。
小さな案件から始め、ルールを整えながら、少しずつ使える範囲を広げていくのが確実です。
日常業務でのAIの使い方については、こちらの記事でまとめています。
今回の記事は以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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